スーパースターになるチャンスを失ったスペイン国王

 投票3日目です。昨夜はスペイン国王の国民に向けての放送急遽ありました。その内容は全くの期待外れどころか、この国の将来を危惧させました。今回はスペインの将来について、述べてみたいと思います。

 まず初めに断っておくと、私はスペインが大好きで、その上国王がいてもいい派です。交通違反の罰金も含めて、税金もちゃんと納めていますので、優良移民というカテゴリーです。「スペイン国王が死んだ日」と言うタイトルにしようと思いましたが、もう少し前向きなタイトルにする、良心があります。また極めて大人しく、民主主義を愛しますが、無抵抗者に対す暴力は反対です。それとすでに独立運動に関しては3回目の連載となりますが、政治活動への興味は竹ぐらい、実際の活動はゼロです。さらに、いつも反対派の意見を聞こうという態度を持った好青年です。従って、私が記載していることに反感を持つ方がいらしても、尊重します。きっちりと論理的な説明を返ってお願いしたいぐらいです。但し暴力はなしでお願いします。もう少し言うと、暴力には精神的な暴力もありますので、非難をする際にも、普通の言語を使ってもらえるとありがたいです。さて、戻りましょう。

 スペインには、王室は税金の無駄使いというということで様々なレベルの意見がありますが、ハイレベルな人脈や非公式なネゴにおいて、王室は十分に役目を果たせるからと信じているからです。良いお家柄もお金がないといけませんから、どうぞ使ってください派です。「その代わり仕事してね」です。この国に来て驚いたのは国王に対する尊敬度が一般的に低く、平気で冗談やゴシップのネタにしていることでした。国王も大変だなと思ったの同時に、尊厳がなければ存在しても意味がないと思ったりもしましたが、やっぱり国王を養えるぐらいの国力はあるだろうとも思いました。また国王が外遊するときは、スペイン企業団も一緒にくっついて、ビジネスをしたりするのも驚きました。随分と敷居が低いのだなぁという印象です。

 近年は王室にとって逆風だらけでした。昔から別子がいると言われている国王ですが、子供達の賄賂を含むスキャンダル、不景気なのに、サファリで狩猟している国王と言った具合にボロボロと色々出て来ました。その後生存のまま息子に王位を継承したり、不祥事の子供達を火消しのために海外に送ったりとそれなりに危機管理をこなしてきていました。

 さて今回は独立投票の問題は、事前と実施中で、大きく2つあります。それは違法性を問われている投票実施と無抵抗の市民対して国が暴力で排除したということです。この2つをはっきりと分ける必要があります。違法性に関しては、それを避けるために様々な政治のゲームをして来ましたが、カタルーニャ州政府は投票実施というカードを切りました。そして政府は違法性を決定するというカードを切りました。もう一つの問題は、これは当日まではありませんでしたが、暴力です。両手を上げて無抵抗を示した市民に対して、この集団暴力は発生しました。暴力は正当という国と無抵抗の市民と言う組み合わせです。対象が変わっています。この暴力には全ての人々がびっくりしました。「まさか、ここまでするか?」がその印象だと思います。国内の報道機関は機能していませんので、BBCとかの報道が中立性が高いように思えます。国内で唯一事実を放送していたアナウンサーが集団に襲われそうになりましたが、警備の力添えで、無事でした。ここでの放送の中立性については前回か前々回のブログを参照ください。

様々な地域での独立支持のデモ。
日付は定かではありませんが、日本では見ることのない風景です。
そして平和的です。

 前スペイン国王はその勇気を称えられています。独裁者フランコ将軍死後間もない1981年に国会が軍により占拠された時に立ち向かったのが国王です。命をかけ国民の信頼をここで得ることができたのです。今回の現国王のメッセージでは民主主義の重要性についてのべています。そして戦犯はカタルーニャ州政府とはっきりと述べています。現行政府の味方をしています。そして暴力についての発言はありませんでした。あれだけの事実の積み重ねなのに、カタルーニャ人に対するメッセージは戦犯の確定と落ち着いてくださいということだけです。普通に考えてずれている思います。「憲法に立ち向かう国民に対する暴力を容認しました」ということでバルセロナ市民を敵にしたのです。終わった直後にはバルセロナ市民は鍋を叩いて抗議しました。いつもの夜10時の抗議より大きかったと思います。市民が真っ先に聞きたかったのは、暴力が実施されたことに対する、国王の声だったと思います。さらに国王の後ろに写っている写真はカタランゴを禁止にした張本人のものです。日本語では、「デリカシーがない」とか「細かいところに気が利かない」と言う表現になるでしょう。もう少し深く考えると、この写真自体がメッセージだったと思います。

 直後からSNSは爆発です。いくつか例を取り上げます。

切実な願いです(直後ではないのですが、前座の写真と思っていください)

こちらは、派遣された警察が宿泊している観光船。イラストが入っている司法機関らしい外壁です。本当にこの観光船を宿にしていたのです。どうやらユーモアのセンスはあるようです。ヘルメット等は誰かが追加加工しています。このヘルメットと警棒が暴力を実施した警察機関のマネです。



これはもちろん嘘なのですが、スペインとカタルニャーの国境を作っているとの説明です。(バスク人が掘っていると言う説明なのですが、この背景を説明すると長くなるのでやめておきます)

ここで先ほどの船の絵が理解できたと思います。茶番劇と言う意味です。


これも先ほどの船の絵が生きてきますね。
ヘルメットを被っています。
暴力派をイメージしています。

 他にもたくさんあるのですが、やめておきます。こんな時にアクションをとる政治家もいます。これはバルセロナの社会派の市長です。超訳すると「何も言っていないじゃない。無責任な首長」と言っています。

  では事実を整理してみましょう。

  1.  王室は近年はスキャンダルで荒れた
  2.  王室に対する国民感情は複雑
  3.  現行政府は住民投票を違法と断定した
  4.  現行政府は違法であれば無抵抗な市民への暴力を認めた
  5.  警察の暴行により市民に怪我人が多数でた
  6.  国王は住民投票を違法と断定した
  7.  国王はカタルーニャ州政府を戦犯とした
  8.  国王は負傷者を無視した
  9.  国王は現状打開に対する具体性がゼロメッセージを国民送った

 ここから解釈すると、「国王の体裁を保つために、民主主義の名において生じた犠牲者を無視して、戦犯者の確定を実施し、責任転換を行った」となります。そして世界へのメッセージは「スペインはいかなる手段を使ってもスペイン風の民主主義に抵抗する無抵抗の国民に対しても力を持って制することをいとわない」となりました。もう少し深読みすると現行政府と王室予算の握りがあったかもしれません。そして「準備が整い次第、大航海時代のように、刃向かうものを抹殺して世界を制覇するのだ」とのメッセージを送りました。これってやっぱりおかしいです。虐めらていた子分からすると、「親分、やっと本性表しましたね」と言うところでしょう。そして今後は独立支持派に対する暴力沙汰が起きるでしょう。そして両派の衝突にぶつかります。国王の了解を得た行動ですから、問題がないのです。(今までなかったのが凄い。投票日にスペイン国旗をまとって投票した人は無事に反対の投票ができた。)

 ではどうしたらスーパースターになったのでしょうか?それも国民から慕われてるようなタイの国王のようにです。それはやはり父親のように命を張る(張っているように見せる)必要があると思います。衝突が予想された時点で、バルセロナに向かい、暴力が発生する前に、市民と政府(警官隊)の間に立てばよかったのです。そしてそれを得意のメデイアを使って流して、「暴力は反対」とのだけのMSGを伝えればよかったのです。政治不介入がより一層、威厳を高めることでしょう。彼は王室復権の機会を棒に振っただけでなく、国の民族分断を推し進めることをしたのです。両手をあげて無抵抗をしめしている市民を警棒で叩くイメージは世界に流れ、そして賛成反対派を含むカタルニャー人の血の中にも流れてしまったのは、国王の責任と言えるでしょう。

 ピンチはチャンスと、ずっと昔から言われています。今回生じたのは突然の危機ではなく予想された危機でした。また違憲と言われていますが、解釈に関しては複雑化して、議論の余地を残しています。戦犯探しより、負傷者をまず大事にすることです。この次に起こるのはカタルーニャ州長の逮捕になることでしょう。国王が戦犯を決めた以上、もう州長の外堀は埋まりました。逮捕し監修となると、州長の英雄化は逃れません。まだまだ王室復権のチャンスとなるような機会があるはずです。ぜひ威厳のある王室復権を目指し、命をかけて人々の安全第一の社会を作る行動をお願いしたいと思います。

 話は変わりますが以前の内容をNewsPickに投稿したのですが、Likeがつきません。やり方間違っているのかも... 今回はもうしません。
 





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