リンクトインは就職サイトではない

 リンクトインを就職サイトと考えている人は、大変多いですね。先日のバルセロナで実施した #ソーシャルセーリング と #パーソナルブランディング 受講者14名の内、10名が授業開始前の印象でした。その次の講習会受講者9名の内、9名が同じ様に考えていたことを考えると、最初にLinkedInを知ったその時の印象が強かったのでしょう。もしくは #リンクトイン は最初はその様に市場にアピールをしていたのかも知れません。私はこれは間違いと思います。




 リンクトインに登録した2008年当時、すでにネットの求人は当たり前で(そういえばモンスターがありましたね)、リンクトインも似た様なイメージでした。但し、ビジネス向けのSNSと言うイメージが入っていたこと、当時の就職活動は結局PDFのCVが基本でしたから、私は就職サイトとの認識は非常に低く、当初よりビジネス開発と求職者の面談時のプロファイル確認に利用していました。初めてのミーティングの前のプロファイルチェックは2008年当時は(笑ってしまいますが)非常に前衛的なアプローチの方法の一つでした。営業やビジネス開発にとって人情報は有効で、商社時代における優秀な営業マンは人脈を通じで、その様な情報を利用していました。海外で業界や市場経験が浅い場合、LinkedInは神ツールと思っていました。当時は検索が無料で相当いけたので、これもずいぶん助かりました。

 今この時点でのリンクトインは、グローバルにおけるプロフェッショナル・パーソナル・ブランディグの最高のツールと思います。ユーザー数もサービスも、そしてプラットフォームとしての安定性も、十分に満足できるでしょう。パーソナルブランディングの確立が可能なゆえ、リクルートにも就活にも、そしてビジネス開発も可能と言うのが本筋と思います。リクルートが最初に出てくると、前述の様に、間違ったイメージが先行してしまい、物事の本質が見えにくくなると思っています。日本の友人に尋ねるとリンクトインは間違いなく求職活動サイトの一つです。これはグローバルな市場にもっと出てもいいはずの日本にとっては、非常に残念なことに思えます。

 ではどの様なアプローチが取れるのでしょうか?私はリンクトインは日本では現在認識の低いパーソナルブランディングのエバンジェリストとなり、極端にリクルートサイトとの差別化を図るのが結局成功への近道と思います。パーソナルブランディングは非常に強力なコンセプトで、これをデジタルトランスフォーメンションにおける企業ブランディング中心に置くと、高い持続性とビジネスとのシナジーを産むことが出来ます。これは実際に人々と話してみるとわかります。大学院の授業でも、求職活動のためのツールから、パーソナルブランディングへの視点移行を丁寧に説明すると、学生たちの目の輝きが違います。将来をもっと身近に考えることが出来るからでしょう。営業マンのケースはどうでしょうか?彼らにはそれぞれのスタイルがあります。特に長年やっている営業マンは確固たるスタイルがあり、やり方の大幅変更には抵抗を見せるものです。ソーシャルセーリングが時代の流れだから、乗るべきだと言う論調にファンシーな数値をみせて煽るのではなくて、何故パーソナルブランディングが人生のテーマなのかと言う話をまずすることが肝要です。またパーソナルブランディングをチームで活用することによる営業効果を実例をあげて説明すると、8時間のセッションはあっという間に過ぎます。そしてセッション後の評価における要望は必ずと言って「短すぎる」と言う嬉しい苦情を頂きます。では非営業部門はどうでしょうか?こちらも似た様な結果になりました。「私は外回りしないから関係ない」と言っていた人たちも、どんな人がプロファイルを見ているかを説明すると、俄然興味が湧いてくる様です。さらに仕事マンとしての、個人のプロフェッショナルとしての自覚は、やはり仕事をきっちりしたい人にとって当然持っているもので、ここにもパーソナルブランディングと言う考えは、しっかりと当てはまります。ですの、営業ほど長くないセッションでも、再び「時間が短い」と言う講師としては最高に嬉しい苦情を頂く事になります。

 私が自信を持って、受講生の前で申し上げることが出来るは自己体験の共有によって、多くの方が今まで見えなかった自分の発見や、仕事への取り組み方を変えるのを見ているからです。全ての人にこの考え方が当てはまるとは思いませんし、まして強要はもっともしてはいけない事です。ですので何故と言う理由付けはもっとも大事な部分であり、その後にツールとして優秀なリンクトインが位置付けられるのです。

作者紹介:鎌田保。現在スペイン、バルセロナにてAllbound MarketingとSocial Sellingを大学院及び企業向けに提供している。すでにセッション数は40を超え、受講生は総数で400名を超える。詳細経歴はここで



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